「樹海」展も終わり、久しぶりに本当の休日。
ずっと寝て過ごしてしまった。
思えば、今年に入ってから個展と二つの二人展に全てを注いできて、
ゆっくり休む間がなかったような気がする。
久々に家でひとり、ビールを飲んだ。
内臓も疲れてたのか・・・苦く、滲みた味。
「ふじあざみ」が終わってから、相方・ASAI氏が
福島県いわき市の
草野心平文学記念館を訪ねてくれた。
ついでに私の実家にも寄ってくれたようだ。
私の”ふるさと”を知ってもらったことは、うれしくもあり、
ちょっぴり気恥ずかしくもある。
慌しく過ぎ去った夏を思い、ぼんやりと過ごした日。
今日も草野心平の詩集『富士山』から。
「秋」
左右満潮の川にはさまれ。
突堤のはては鉛の海。
枯れ葦にとまって百舌鳥。
ハガネの声は空気をつんざき。
その亀裂にそそぎこむ秋。
秋のはるか。
白い永遠。
管理人HN
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テーマ:詩 - ジャンル:小説・文学
- 2006/09/16(土) 23:42:53|
- 詩画集『富士山』より
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度々紹介してきた詩画集『富士山』は
草野心平の詩と棟方志功の版画が対になって構成されています。
今日の詩「赤富士」の棟方志功の画、いい感じです。

「赤富士」
カーニバルだ。
いろんな雲の。
象のようなニューギニアのような。毛刺の大たぶさのような。
飲んだくれて横になった李太白のような。
紫に朱にオレンジに。ところどころは薄墨に燃えるサルビヤに。
その雲たちの列のましたを。
赤トンボの編隊が進んでいる。
そして向う。
ピカソの赤富士。
管理人HN
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- 2006/08/25(金) 01:38:31|
- 詩画集『富士山』より
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今日は樹海の氷穴の写真を添えて、
草野心平の詩集『富士山』からひとつ。

「三畳紀」
レピドデンドロンとシギラリアの林のなかに。
牡の象がよこたわって。
眠っているのではない眼をつむって。
瀕死の喘えぎをしている。
その牙も一本はさきっちょが折れ。
西の湖のほとりから。
峠を越えて。ASAMAの噴煙を左に見ながら五匹の仲間と。
大とんぼメガネウロンなんかをざらざらの耳でひっぱたきながら。
羊歯類の平原でさんざ満腹。みちくさしながら五匹の仲間と。
FUJIのふもとの湖畔の林までやってきたのであったのだが。
性の勃発から。血みどろになり。
一番弱い牡が一匹倒されたのだ。
レピドデンドロンの鱗のある木並のあいだからFUJIが見える。
火を噴く夜のFUJIが。
あの空みたいに爛れて死ぬのがおれの運命か。
などとはさらさら思わない。
ただ。苦しみが終わればなにもかも終ることを象は知っている。
寝返りを打った。
胴っ腹の。
突き破られた傷口に山盛り。
俄かにあつまった金蝿の群が歓喜の唸りをあげはじめた。
葡萄酒色の満月。
葡萄酒色の暈。
管理人HN
テーマ:詩 - ジャンル:小説・文学
- 2006/08/20(日) 00:34:52|
- 詩画集『富士山』より
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月が満ちてきています。明日8月9日は満月。
富士山の上では見れるでしょうか?

詩画集『富士山』から今日もひとつ。
「満月の海に」
満月の海に。
突如。
龍巻。
そいつはやがて黒いソフトクリームになり見えなくなる。
三千米のガランの天で。
サファイア龍は。
うねりたわむれ。
ルビーの一点を尻っぽにつけたからだをビィーンと逆立ちさせると
龍はサファイアの垂直線。
まっ下に見える不二山巓は。
白い。
椀コ。
管理人HN
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- 2006/08/08(火) 02:11:15|
- 詩画集『富士山』より
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